お嬢様の恋
学校の校門前でリムジンから降りると昨日以上の視線が自分に向けられるのが分かった。そして昨日は居なかった上級生達が｢小瀬谷グループの令嬢だ｣などと言うのを嫌でも聞かなくてはいけなかった…。


１人であの中を歩くのは嫌だと思っていると明るい声が聞こえて来た。

｢あんりおはよう！｣

佐奈だった。
佐奈は学園の専用バスで来たようだった。この学園ではどうやって登校するかだけでも身分が簡単に分かってしまう。

あんりは望んでいなかったこと…

あんりが小瀬谷グループの令嬢だと分かればどうなるかは分かりきったことだから…。


｢あんり？まだ眠いの？笑｣

佐奈は黙っているあんりを見て不思議そうな顔をした。


｢あ…おはよう佐奈。佐奈と会えて良かったわ！１人であの中を歩くの嫌だったの…｣

そう言って辺りを見た。佐奈もあんりといることで感じる視線でそれに気づいていた。

しかし佐奈はそのことには触れず話を変えた。あんりには有り難いことだった。


｢そうだ！あんり朝から噂になってたよ！もう見た？この雑誌｣

佐奈が見せてくれたのは週刊誌だった。表紙には大きく
【小瀬谷家令嬢帰国！】
と書かれていた。

【小瀬谷グループの令嬢小瀬谷あんり様がイギリスから帰国し名門校桜ヶ丘学園にご入学。
今晩ご入学を祝って盛大なパーティーが催される予定。
海外からもVIPが多々招待され小瀬谷グループ次期会長である小瀬谷貴也様もご帰国】

なとが書かれていた。
さすがマスコミと呆れながらもあんりは関心した。

｢知れ渡るの早いわ…｣

１人ごとのように呟いた。
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表紙・目次

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