あの夏の日をもう一度




私はセムナイに夢のことを話した。
「お取り込み中で悪いのだが...」
私とセムナイが友情を深めあってるときに幸三が申し訳なさそうにわたし達に話しかけた。
「その妖刀かえしてはくれんか?」
そう言うと私の左手にある刀を指さした。
「 ..あっあぁ、ごめん」
私は刀を幸三に返した。
幸三はすごく丁寧な手つきでさやにおさめた。
「それはなに?」
途中からセムナイは妖刀だと知らなかった。私もよくはわかってないけど、妖怪を切ることができる刀だということは身を持ってわかった。
「これは妖刀、櫻雷(おうらい)だよ。
この世界で唯一妖怪を切ることのできる刀だ。昔、村を襲った妖狐を切り村を救ったと言われる刀さ。桜のように綺麗な切れ味、雷のようなパワー、この刀の名の由来だよ。」
そんなすごい刀があったなんて、知らなかった。こんな森の奥の神社に置いといていいのだろうか。セムナイもよくわかっていない様子だったが、私達は話を続けた。
「じゃあ、この刀は妖怪がもってはいけないものだったのね。なのになんで私はもってもなにもおこらなかったの?」
「おまんが、この刀に選ばれたからだろ。普通人間でもこの刀をさやから抜き出すことはできないはずだ。」
そう言って幸三は刀を思いっ切り引っ張った。だけど、刀はびくともしなかった。幸三はほらなとこちらに顔をむけた。
「まぁ、もしかしたらお前が妖怪だから抜けたのかもな。昔、鬼を倒したのも妖怪だと言われておる。しかも、君のように嵐のように現れたそうな」
「妖怪が妖怪を?」
「そうだ、彼女は倒したものの村のみんなに恐れられた。まぁ、すぐ消えたらしいけどな、たしか名は''みこと''」
「み...こと?」
「うそ!神琴と同じ名前じゃない。
すっごい偶然ね。なんか運命って感じ」
セムナイは嬉しそうに話しているが、私は上の空だった。ただ、セムナイの言った運命と言う言葉だけが私の頭で何回もリピートされた。
「私、ちょっとでるね」
私はそういって境内をあとにした。とりあえず、一人になりたかった。
「志帆」
静かに私はふすまを閉じた
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