あの夏の日をもう一度
不協和音
神社に帰ると村の人がたくさん集まってた。なんの話かとわたしは近づいて聞いてみた。
「この神社は夏休み終わりまでに取り壊します。」
「待ってください。急すぎますぞい」
取り壊す?聞き違いだろうか。村の人は声を揃えて言ってる。何を言ってるの?ここはわたし達の家なんだ。
幸三はわたしを見つけるとこう叫んだ。
「今日のとこはお帰りください。
迷惑です」
そういうとたくさんいた村人が階段を降りて帰っていった。
「坊さん、どういうこと?」
「中で話そう」
そういって私達はなかにはいっていった。
ふすまを開けるとセムナイが座って待っていた。セムナイの目は赤く腫れている気がする。
「ど....ういうこと?」
だれも答えてはくれなかった。
「ねぇ!答えてよ!なに取り壊すって」
「神琴、よく聞くのじゃ。」
「私から話すよ。この神社は村によって取り壊されるの。最近参拝者が少ないでしょ。それってこの村にたくさんの妖怪がでるって村に広まったからなの。それの原因は6年前のあのときからよ。健人が泣きじゃくった日。村の人は健人は妖怪に襲われたと思ったのよ。だからあれから一切健人は来なくなった。参拝者が少なかったらこの神社の意味はないんですって。神社を壊して、ここいったいをダムにするらしいわ」
「私達は私達妖怪はどうなるの?この神社がなくなれば、妖怪は消滅してしまうのでしょ。みんな居なくなっちゃうの?」
セムナイは小さくうなずいた。私は無意識に後ずさった。そのまま、座り込んでしまった。
「.....だめだよ、諦めちゃだめだ!」
「むりだよ、もう無理なの。」
セムナイはもう諦めていた。目には光をうつさず、闇だけをうつしている。
「坊さん!どうすんのさ」
幸三は私の目を一度も合わせてくれなかった。どうすればいいか、私にはわからなかった。
「もう、いい。一人でなんとかする。」
私は外に飛び出した。