あの夏の日をもう一度


当日、村はざわついていた。工事の車両が何台も神社に向かっていった。その車両が来る前にただ一人、健人は神社に向かっていた。

「坊さん!いるか。」

「健人!なぜここにいる。危ないから帰れ」

「嫌だよ、ここは俺の大切な人場所なんだ。だから守りに来たんだよ。坊さんも神社も約束も!このままじゃ終われねぇよ。この村にちょうど帰ってきたときにこんなこと起きるってことはさ、神様にここを守ってくれって言われてるようなもんだろ」

そのとき、ちょうど工事の人が入ってきた。そして、幸三と健人をつれて外に出ようとした。
「触んな!やめろーー」
二人は必死に抵抗したが、男3人係に勝ち目なんてなかった。坊さんはセムナイに向かって口パクで「逃げろ」と口を動かしたが、セムナイはにこりと笑って「ごめんね」とつぶやいた。
「セムナイ、セムナーーーイ!」
いきなり、出した幸三の声に驚きはしたが怯むことなく男たちは二人を抱えてそとに容赦なくだした。
「なんでだよ!なんでなんだよ!」
健人は地面を思いっきり叩いた。
そんなことお構いなしにショベルカーは神社を襲おうとした。そのときだった。
「ゴゴゴゴゴゴォー」
地面が激しく揺れ出した。
「な、なんだよ、これ」
「逃げろ!地震だ」
そう思った時にはもう遅かった。
たくさんの車両は木々によって破壊され、たくさんの工事の人が大地の揺れによって飛ばされ、木々にぶつかり気を失っている。
幸三も逃げようとしていた。そのときだった。
「危ない!」
大きな木が倒れてきたのだ。
幸三は目をつぶった。しばらくして、開けるとそこには悲惨な光景が浮かんでいた。
幸三をかばった健人の足が木に挟まって大量の血がでている。幸三は精一杯の力で木をどかしたが、びくともしなかった。
「坊さん早く逃げろ」
「できんよ、そんなこと。お前を残していけん」
「ばか...だ...な、だ...いじょう..ぶだから」
「健人、健人!起きるんだ、健人!」
「坊さんどいて」
「神琴、その刀は!」
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