あの夏の日をもう一度


着いた先は、大きな樹木の下だった
「何者だ」
不意に後ろからこえをかけられ
振り返るとそこには尻尾を3つもった大きな狐がいた。
「きれい」
つい、声に出してしまった。
「お主、人間ではないな?」
「は、はい。今日から幽霊させてもらって
ここに来るといいと木たちに言われて来ました。」
「そうか、私の名を名乗ろう。サグジこの森の守り神だ。お前の名はなんという」
「神琴です」
サグジははっとして、すぐに微笑んだ。
私はそれを懐かしいと思ってしまった。
「いい名だ、これからは私を頼ればいい。
この森には、たくさんの妖怪がいるが
みんないいやつだ。仲良くしてくれ。探検でもするといい。」
サグジはそう言ってまた来た道を帰っていった。

私も来た道を戻ろうとしたが、やることもないのでサグジに言われたとうり探検しようと思った。

10分後....
「ここはどこだ!」
私はめいっぱいの声を森に響かせた。
あれから、獣道をずっと歩いていたのだが
帰る道を忘れてさまよっているとこだ。
「ねぇ、神琴。なにしているの?」
「だれ?」
いきなり名前を呼ばれ、反応してしまった
体を一周させて探したがだれもいなかった
「ここよ、ここ!」
声はきこえるのだが、姿が見えない。
「しーた!」
言われたとうり下を見ると羽をつけた小さな女の子がそこにいた。
「えっーと、だれかな?」
「やっと気づいた
私はセムナイ、この森の住人よ」
もしかして、この子も妖怪なのか?
妖怪には見えないけど
「私は妖怪じゃないわ、妖精よ」
私の心を見破ったようにセムナイは自慢げに言った。
「私は人の心が読めるの。」
そんなバカな、私は心の中でつぶやいた。
「今、そんなバカなって思ったでしょ?」
「な、なんで、分かったの?」
私は驚きを隠せないでいた。
小さいくて羽があるだけで、ただの女の子みたいに見えるけど。
「だから、見えるって言ったでしょ。
てか、こんな背丈で羽があったら信じるでしょ?バカなの?」
言われてみればそうだ、最近変なものしか見てないから、感覚がおかしくなってるのかもしれない。
「私、ずっと友達が欲しかったの。
よかったら、友達にならない?」
「しょうがないな」
ストレートな彼女の気持ちを素直に受け取ることができず、私はずっきらぼうな返事しかできなかった。
だけど、心を読めるセムナイには不安な気持ちで凍っていた心が少し溶けたことはきっとバレていたのだと思う。
セムナイはこの森の話をしてくれた。
夜があけるまで
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