あの夏の日をもう一度
別れ
それから、私は神社に閉じこもるようになった。セムナイはそんな私を毎日見に来てくれた。
そんなある日、神社の境内で座っていると私がいるとしらずに隣に座ってお経を唱えてる坊さんがお経をいきなりとめた。
「いつまでも、めそめそしておんな
この泣き虫めが!」
「へっ?えぇぇぇぇえ、
わ、私の事見えるの?」
「おう」
坊主はあたりまえと言わんばかりの顔で言ってきた。前におっさんに私の姿は人には見えないと言っていたのに、もしかして死者の国から転生したのかとも思ったけど、おっさんは年をとるにつれて見えなくなる時なこと言ってた気がする。どうみても、この坊さんは60は越えてるだろ。
私は素朴な疑問をなげかけてみることにした。
「なんで、私が見えるの?」
「まぁ、この道を極めてきたから見えるだろ」
「いつから見てたのよ!」
「お前さんが来てサグジに会いに行ってたとこからじゃな」
「最初っからじゃん!」とツッコミをいれたいとこだが、そこをじっと我慢した。
「で、どうなんじゃ?」
「なにがよ?」
「とぼけんでいいわい!彼だよ健人」
「おじさん、知ってるの?健人のこと」
「知ってるも何も、お前さんを前に訪ねた時にお前さんがちょうど出ていて、わしのとこに来たんだよ。ちょうど、来なくなる前の日じゃったな。ある人とつながりが欲しいと言っとたよ。...ってどうした?」
自分でも気づかぬうちに涙が頬を伝っていた。一粒出るととまらなくなってどんどん出ていく。私は声を出して泣いた。ずっと詰め込んでいた想いと一緒に。
何時間泣いたんだろ
坊主は泣き止むまで、隣にいた。
「これをお前さんにやろう。」
私が落ち着つきを取り戻すと坊さんは丸い石が半分かけているペンダントを私の手のひらに優しくおいた。
「これに願えばまた、会うことができよう。願え、さればおぬしのねがいは届くはず」
「ありがと」
「わしは、城田幸三だ。またくるといい。
ほら、友がきたぞ」
そのときちょうど、ソフィアの声が聞こえた。私はソフィアを探しに境内をでる。
最後に「ありがとう」とつぶやいた。