あの夏の日をもう一度
「神琴、大変なの」
境内をでるとソフィアが慌ててこちらに飛んできた。
「あのね、村の人の噂できいたんだけど健人今日引っ越すんだって」
私の目の前から光が消えた。色んな感情が混じり合いどうすれば、いいかわからなかった。
「はっははは」
私は力なく笑うことしかできなかった。私はこの森から出ることは許されない。つまり、もう会うすべがなくなるってことだ。
これが私らの運命だと思うしかなかった。
「ねぇ、神琴!このままでいいの?」
「しょうがないでしょ。
私にはこの森に出るだけの妖力がないの。
何回も挑戦したけど結界を破れなかった」
私は声を荒らげてしまった。
これは、完全に八つ当たりだ。それでもソフィアは静かにあやまって、私を1人にしてくれた。
私は山の1番高い山から、健人の乗ったトラックを見ることしかできなかった。