あの夏の日をもう一度
心の傷
過去
健人が引っ越してから、もう一年が経とうとしたていた。健人はきっと今はもう四年生くらいだろうか。健人はまた、泣いてないだろうか?友達はできたのだろうか?
私の時間はあのときから止まったまんまだ
生きてた時と同じ
わたしはここにいるはずなのにわたしはここにいない。
あの時も
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「美紅ちゃん聞いて聞いて
私ね、翔くんと付き合うことになりました!」
「えー、本当!よかったじゃん
志帆ずっと好きだったもんね」
志帆は私の小学校からの親友。
高校も同じとこを受けるつもり。
志帆は私とは違っておしとやかで大人しめの子だった。人見知りが激しくて、ずっと一人でいる志帆に私が話しかけたのが始まりだった。それからはずっと一緒、これからもそう思ってたそんな日。
雨が降る暗い日だった。
「もう志帆なんてしらない!」
「待って美紅ちゃん!」
ほんの些細なことだった。
志帆が私の悪口を言っていたと友達に言われたことがきっかけで本当かどうかも確かめずに、怒鳴りつけてしまった。
私は傘もささずに家へと帰った。
「美紅ちゃん、お願い話を聞いて!」
私が家に入ろうとしたときに聞こえて振り向いた。
そしたら、こっちに向かって走ってくる志帆の姿があった。
そのときだった。
「キィーー」
トラックが志帆の体を一瞬にして消えった
世界が真っ白になった。
「し、志帆ーーーー」
私はすぐに志帆のもとへ駆け寄った。
「お願い、目を開けて!ごめんなさい
志帆のこと信じてあげられなかった」
「ピーポーパーポー」私が呼んだ救急車で志帆と一緒に病院へ向かった。
救急車の中でわたしは何度も志帆の名前を呼び続けた。
病院をつくとすぐに志帆は手術室の中に入れられた。わたしは前のベンチに腰掛けた
そして、何度も何度も自分を責めた。
「美紅ちゃん?」
「志帆ママ」
不意に呼ばれた自分の名前に振り向くとそこには志帆の母がたっていた。
私はあやまった。何度も何度もあやまった。志帆ママは私があやまるたびに「大丈夫、大丈夫だから。志帆は死んだりしないわ」と慰めてくれた。
手術室が開くと一人の医者がでてきた。
私はすがるような思いで医師にたずねた
「志帆は、志帆は?」
医師は何も答えなかった。
しばらくして、医師は重い口を開いた
「ご愁傷さまです」
私はその場にしゃがみ込んで大粒の涙を流した。
その日を境に私は部屋に閉じこもった。
そして、志帆の死の3日後私は翔からメールで真実を聞かされることとなった。
「美紅、大丈夫か?
今日は美紅に黙ってたことを言おうと思って。志帆には黙っとけって言われたんだけど、言わなきゃいけない気がしたから言う
志帆はずっとクラスのやつからいじめられてたんだ。けど、お前のこと巻き込みたくなくて言わなかったらしいんだ。
きっと、お前はあの日クラスのやつに志帆が悪口を言ってたって聞かされたんじゃないか?それは根も葉もない噂だ。
志帆は最後までお前を信じて、最後までお前を好きだった。それだけは嘘じゃないから信じてあげてほしい」
私はメールを何度も読み返した。そして、私は家を飛び出した。現実から逃げ出すように。気づくと学校の屋上にいた。
「志帆、今行くよ」
私はそのまま飛んだ。
「志帆、ごめんね」
最後にこのメールを残して
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「神琴!神琴!」
「んっ...セムナイ」
目を開けると心配そうにこちらを見つめるセムナイがいた。
「あんた、すんごいうなされて...って神琴?」
セムナイは私の右手を掴もうとしていた。
その手を私は振り払った。
「.....神琴?」
それでもセムナイは、私に不安そうな瞳で私を見つめていた。
「...........ぃ」
「えっ...?」
「...うざいって言ってんの。
頼むから、私にもう近づかないでくれ」
私は静かにその場を立ち去った。