前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
大学の外の喫茶店に私は3人を連れてきた


レイジと良く来るお店なんだけど


学生のお客さんは私たちくらいしか見たことが無いから


密会にはもって来いのお店だと思う。


落ち着いた雰囲気だし、いつも身の回りの騒がしいレイジはこのお店を偉く気に入ってる。


「へぇ〜、こんな近くにこんなお店あったんだ!知らなかった…
凄くいいね(笑)
コーヒーも美味しいし」


とアイリが満足した様子で言うと
テッタくんとケンゴくんも笑顔で頷いた


みんながコーヒーに口をつけて
落ち着いたところで私は切り出した


「詳しい事は、外では言えない事だから
夕方ウチへ来た時に話すね?
3人と有坂くんが同じ高校で同じ部活だったのは聞いてるけど、前に何かあったの??仲良さそうなチームメイトに見えなかったから気になって…」


と私が言うと、アイリが口を開いた。


「うーーん、と言うより…
私たちの高校のアメフト部っていうのはね、どうしようもない問題児達をひとまとまりにしておくような吹き溜まり部だったの。
テッタとケンゴだって今でこそ大親友だけど
入部当時はそれはそれは喧嘩ばっかで大変だったんだよ(笑)
大輔もその1人で私もその1人。
さっき見て気付いたかもしれないけど
私は物心ついた頃から中2までは毎日
剣道をしててね
中2で全中チャンピオンになるくらい
強かったんだよ?
でも、その頃パパが事故で亡くなっちゃってママがその現実を受け入れられなくて荒れてしまって…
仲良かったグループの子たちは影でママの事を悪く言うし
その中の女の子の彼氏が私を好きだと言い出して…
私自身も荒んでいったの。
友だちがいない私は何才も上の人と付き合ったり、喧嘩もたくさんした。
って言ってもこの通り小さいから棒を持って無いとボコボコよ(笑)
ダイスケとは中学が一緒で、私はダイスケの次くらいに強かったの。
まぁ、ダイスケは私と喧嘩なんかしようともしなかったし、武器をもってないと何も出来ない私なんかに興味は
ないのよ(笑)
ダイスケは小さい頃母親が病気で亡くなって父親と妹と3人で暮らしてて
その時のダイスケもやっぱ桁違いに強くて乱暴な所はあったけど
仲間思いで優しい所があって頼まれ事は断れないような人だった。決して不良ってわけじゃなくて、テッタやケンゴと一緒。ただ、ヤンチャで喧嘩が恐ろしく強かったってだけ。
でもね、ダイスケの妹が母親と同じ病気で高1の秋に亡くなったの。
そっからダイスケはどんどん荒んでいったの。逆に私はアメフト部のみんなと知り合って、ママも時間と共に落ち着いて
立ち直っていったから、元の自分に戻っていったの…」
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