前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー



30分程して櫻井先生は戻ってくると
今度はレイジを診察室に残したまま
包帯を巻いてくれました。


「礼二君よく見ててね?
さっきの巻き方凄く上手かったんだけど
ここをこうするといいよ?
こうしとくと、長時間巻いてても
うっ血しにくいんだ…
今日の夜、入浴した後は礼二君が
巻いてあげてくれ。
3日間はこの巻き方で行くから。
4日目からは巻き方を少し変えないと
動かせないからね?
ではまた夕方おいで(笑)
俺はこれから仮眠に入るけど
家目の前だから
着いたら受付けに連絡入れて?
すぐ行くから(笑)
同じ事の繰り返しだけど
これが1番の早道だからね?(笑)」



「ありがとうございます…。
でもいいんですか??
先生、お休み中に私のために……」


なんか申し訳なくなっちゃう


「やっぱ、ミカちゃんは
本当にかわいいね(笑)
実に惜しいっ!!!
いいよ?気にしないで。
これが俺のお仕事だから(笑)
それと、俺との約束覚えてる?
絶対に来ないとダメだよ。
昨日の今日で痛みは更に強いはずだよ?
痛み止め飲んでるでしょ??
何時に飲んだ??」


「6時です…」


「テンから貰ったのかな?
なにもらった??」



「ロキソニンです。」


「そう…わかった。
今日、明日は痛むから疼いてきたら
飲んでも効くのに時間がかかるから
1日3回6時間くらい開けて
飲んでいいよ?
それと、これ。
これはロキソニン飲んでても痛いと
思ったら飲んでいいよ?
ロキソニンと一緒に飲んでも
大丈夫な薬だから」



「ありがとうございます(笑)」


「では、また夕方ね!
礼二君も悪いけど
少しの間ミカちゃんの通院に
協力してあげてね(笑)」


と言って爽やかな笑みを漏らすと
櫻井先生はまだ仕事が残ってるようで
看護士さんに呼ばれて
診察室を後にした。


お医者さんって大変だなー


でも素敵なお仕事だね!


先生素敵だもん。


「あっ、今ミカ櫻井先生のこと
カッコいいとか思わなかった??」


「えっ?まぁ櫻井先生は
かっこいいし素敵だよね?」



「はっ?まさか、惚れたとか??」


「えっ?何言ってるの??」


「だって、かっこいいって言った…」


と言って拗ねるレイジ…


ふふふ、ヤキモチかなぁ?


嬉しいなっ!!


「ふふふ(笑)嬉しいなっ!
レイジもしかしてヤキモチ〜?」


「ああ、いつも言ってるけど
餅が一瞬で炭になるほどにね……」


ふふふ(笑)


こんな地味な私なんかに
ヤキモチを焼いてくれて
本当、私は幸せ者だよね〜



「ふふふ(笑)嬉しいっ!
私ってつくづく幸せ者だわ。
でも、レイジのがカッコいいし
素敵だし…
レイジ以上にカッコいいなと思う人には
会ったことないけどな??」


と首を傾げて考えこむと


レイジがフッと笑って


「じゃあ許す(笑)」

って言った。


その顔がまた息をするのも
一瞬忘れるほどの威力でした(笑)


診察室を出ると


「はぁ、しばらくの間
毎日櫻井先生にミカを会わせないと
いけないのかぁ〜!
あの人、本当脅威なんだよな〜
カッコいいし、紳士だし
いい人だしなぁ…
調子狂うんだよなぁ。」


ぶつぶつとレイジが呟いているけど
意味がよくわからないので
特にその事には触れずに


救急外来の入り口の所まで
歩いて行くと
(まだ外来は始まっていないからね)
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