前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
明夫くんは簡単に倉庫の図面を書くと
その紙を皆に見えるようにして
話し始めた。


「さて、この前の話は礼二から
聞かせてもらった。
最小限の戦力でこの作戦は
1番だと思える。
全員の戦いのスタイルも考慮されてて
文句のつけようがない。
ただし、奥に進む礼二とトシヤの
負担はやっぱ否めない。
奥に行くにつれてどんどん戦力が
奴らに取られていくからな…
だから俺の役目は前から奥まで
最後まで礼二達と行動しよう。
赤木さんはミカを頼む。
ミカを守りながら前から真ん中にかけて
の雑魚払いに徹底してくれ。
赤木さんはミカを連れながら出来るだけ
前進しようと思ってなかった?」



「あっ、はい…思ってました。
どうしても奥の戦力が手薄なので…」



「奥の方は俺に任せて。俺1人で充分。
お前達にはなるべく負担はかけないつもりだけど、人数が人数だからどうしても
全員いっぺんに相手出来るわけじゃないからな…
礼二は竹刀が触れるから有坂の前につくまでは拳を使わないこと
トシヤは出来るだけ相手を拳で叩かないこと。大丈夫。いくら薬中で痛みの感覚が鈍っても一発で相手の関節をとって
躊躇わずに折っちまえばいい。
そんなのこの場面では正当防衛の範囲内だ。のたうち回って少しの間は
動けやしない。それくらいの技
総合でも習ってきただろ?」


「「はい。」」


「後の雑魚払いは俺が引き受けた。
とにかく2人は自分の相手に向かって
一直線に進め。俺が見てダメだと
判断したら問答無用で有坂も須藤も
俺がやる。言っとくけど俺は
この中でも、向こうの大将よりも
全然強いからな(笑)
ミカをあんなゲス野郎に取られる
くらいならお前らの意地もプライドも
俺には関係ない。それが嫌なら
絶対に勝つんだぞ?
皆も同じだ。危ないと思ったら
大声張りあげろ。俺がすぐに飛んでいく
それと、アイリちゃんとミカは
ミカの背中が良くなったら俺が稽古を
つけよう。それまでの数日は
赤木さん達は井上道場へおいで。
俺は合気道は師範の資格を持ってるから
舞の方の稽古が終わったら道場を
貸してくれるって言うから
夜稽古をつけよう。」


「えっ?あのもしかして井上道場って
前川さんの元同僚で、今回の捜査にも
協力して頂いてて…
井上って……元日本チャンピオンで
凄く可愛くて有名だった
井上刑事の道場?」



「紗江、俺前に話さなかったっけ?
前川さんの同僚のかわいい元刑事さん
がここへ来たって!?
しかも俺は明夫君とは今日で
3回目だぜ?会うの。
ああ、そうだった、そう言ったら
紗江ブチ切れて
かわいい女だとぉ〜っ!!!
テメェ殺されてぇのかっ!!!
って怒っちゃって
話にならなかったんだ!(笑)」



「ははははは(笑)そうそう!
その井上舞さんが俺の奥さん。
あとこれだけは言っとくね?
今も凄くかわいいよ(笑)」


と明夫くんがまた簡単に人を
悩殺する笑顔をサエちゃんに向けると


さすがのサエちゃんもタジタジに
なってた(笑)


「ふふふ(笑)うん、舞さんは
今も凄くかわいいよね〜(笑)
明夫くん?
でも、ありがとう!2人とも!
舞さんも色々と協力してくれて
私もう2人には足を向けて眠れないや」


「いいんだよ?俺も舞もミカのためなら
なんだってしたいんだから。
舞は赤木さん達の親友の死についてを
前川と1から捜査してて、いい所まで
きてるらしい。だからこっちには
来れないけど、舞も皆の事を気にかけてるからね?
お兄ちゃんが頑張らないとね(笑)」


と言って優しく微笑んだ。
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