前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
3人組が煩いので

1人でミカを抱えながら駅までの道を歩いてると


女の人とすれ違った


すれ違い様にミカの顔を見た
その人は足を止めて


「み みかじゃない??」

と俺の方を見上げた


ミカと雰囲気がすげぇ似てる
凄く美人な人だった。


「あの!間違いだったら
すいません!
その気を失って苦しそうな子。
橘美佳じゃない??」


「あ はい
そうですけど…」

あまりにも食い入るような目で
ミカを見るので隠すようにして言うと


「ああ、ごめんなさいね!
私、安藤天って言います。
ミカは私の従姉妹なんです…」

まだちょっと信用ならない俺は
ミカを隠すように抱いたまま
安藤さんの顔をよく見てみた。


そしてミカの顔を見てみる

見比べると良く似てる。
姉妹みたいだ

若干、安藤さんは気が強そうだけど


「こんな家庭の事情を言うのもなんなんだけど
私の父とミカの父は一卵性の双子なの。
うちの父は長男で家を継いだんだけど
由紀さん(ミカの母親)の家に男がいなかったから
裕人(ヒロト)くんは橘家の婿養子に入ったの!
だから私とミカ良く似てるでしょ?
年は8才も違うけどね!」

とミカそっくりの笑顔で笑った。

あ〜

そんなこと昔言ってたな…

ミカは良く親戚の集まりとかで
出かけると

すんごい美人で優しい姉がいるって…

「あっ
そうなんですか…?」

突然のミカの従姉妹の遭遇に
ビックリで気の利いた言葉も出てこない

ミカ、目を覚ましてくれ

と祈るような気持ちでミカを見つめると

「ミカ、具合悪そうね…
どうしたの?」

「熱が高くて、俺が気がついた時には
倒れてしまって…」

「ちょっと待っててね」

と言って、どこかに電話し始めた

「もしもし?健夫??
私は今から明夫くんの所に行かなきゃ
ならないんだけど…
ミカが熱があるみたいで倒れちゃって
男の子が抱えて歩いてたの!
えっ?なに??
んなわけないじゃない!
んで、今からその男の子とミカを病院に
行かせるからっ!
今日はおじいちゃんがいないし
アンタ専門じゃないけど見れるわよね?
なんならパパにお願いするけど?
じゃっ!頼むわね!!」

と言って電話を切ると

ミカそっくりの笑顔で笑った


「そっちの角を右に曲がって50mくらい
進むと安藤総合病院があるから!
そこにミカを連れてって!
安藤っていう無駄に顔だけは
ムカつくくらいカッコいい若い医師
が見てくれるから!
若いけど腕は確かだから安心して?
私も用事を済ませたらできるだけ早く
行くから!じゃあねっ(笑)」


と言って、お礼を言う暇もなく
安藤さんは言ってしまった


顔は似てるけど性格は全然違うんだな…






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