前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
今だに何が起きたのか上手く整理のできない私。


アイリも私の名前を呼んだものの先に
言葉がつながらない。


そしてこの異様な雰囲気の中
中谷くんが口を開いた。


「ミカちゃん…
あれって
法学部の1年の山田礼二だよね?」


その言葉で我に返った私


「えっ?あ うん
そうだね……」


「頬にキスされてたけど
どんな関係??」


「お お 幼馴染みなの…
それで、えーっと
私なんかじゃ釣り合い取れてないと思うんだけど…
お お お付き合いしてマス……」


そこで中谷くんは黙り込んでしまった。


「ミ ミカッ…!!
あの超イケメン。
ミカの彼氏だったの??」


と驚きを隠せない様子のアイリが言った


「うん…。
アイリ黙ってて本当ごめんね。
レイジ、あんな感じで凄くカッコ良くて昔から女の子に大人気でね?!
私なんかが、レイジと付き合ってるなんて知れたらレイジの趣味疑われると
思ったら言えなくて…
それと皆さん
さっきはレイジが失礼な事を
言ってしまってごめんなさい。
本当は優しくて凄く良い人なんだけど
昔からレイジは私には凄く過保護なの。
私のがひとつ年上なのに。
どっちが年上かわからないよ(笑)
嫌わないであげて欲しいな…」


と言って頭を下げた


「本当に!ミカは〜!!
あのイケメンとミカはすんごくお似合いのカップルだよ?
私勝手に心の中であの超イケメンレイジくんの隣にミカが歩いてたら
絵になるなって思ってたもん。
それに私がテッタと付き合ってる事も
今言ったわけだし、おあいこだよ?
私も今まで女の子達と一緒にいないで
この人たちといたってのも黙ってたし
テッタの事
ミカに相談出来なかったんだぁ…
ミカは美人で心の中も本当にキレイな子だからテッタがミカを好きになっちゃうかと思ったの
だからこの集団をミカから遠ざけたいと思ったんだ…」



「えっ?謝る事じゃないよ?
何を言うの?アイリ!
アイリは充分魅力的でかわいいよ!
それに性格だって
裏表無くて本当に良い子じゃない。
佐藤くんはアイリしか見えてないって私わかるよ?
でもね、アイリの気持ちは私も良くわかるからそんな事気にしないでね?
私だって、アイリを騙そうだなんて思ってなかったけど結果的に自分から話せなかったんだから…
ごめんね?」


とニコッと笑いながら軽く頭を下げた


「アイリ…いい友だちに会えて良かったな!でも俺はずっとアイリが好きだったんだから
なにも心配することないぜ(笑)
そりゃ、ミカちゃんはとびきり魅力的な女の子だけどな!
好きな女はアイリだけなんだから
ミカちゃんの彼氏に鼻の下伸ばしてる場合じゃないぜ(笑)」



と佐藤くんがアイリの頭を優しく撫でた



「……テッタ‼︎もう〜
あんな人、初めて見たんだから
しょうがないじゃない!
でも、ありがとう…
ミカも本当にありがとねっ…」


と言って
アイリは頬を赤く染めながら
佐藤くんの服の裾をいじりながら
私にニコッと笑った。
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