前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
ピーンポーン…
ピーンポーン…
リョウクンを寝かし付けている所へ
誰か来たらしい
「あっ、俺が出るよ…」
と言って、レイジが出て行くと
レイジの後ろからバンリくんがついて
部屋に入ってきた
「ミカ、兄貴きたよ。」
「あっ!
バンリくんいらっしゃい(笑)」
とリョウクンを抱きながらニコッと笑った
「ごめんね、ミカちゃん、レイジ…」
と申し訳なさそうに謝るバンリくん。
「えっなにが??」
と、首を傾げると
「今朝、お母さんから電話があって
リンカから電話が来たんだけど
羽田にいると言ったら、そのまま電話切られたみたいで…
で、今自宅に帰ったらリンカもリョウもいないから、ここじゃないかな?と思って……」
「別に気にしないで?(笑)」
「リンカ、帰ってきてから本当よく頑張ってくれてて…リョウの事も家の事も全部自分で抱えちゃう所があって…
でも俺の前では無理して笑うし…
帰ってきた日の夜、リョウは泣いたんだけどそれ以来、リョウの泣き声を1度も聞いてないんだ…
ミカちゃん、リンカはどこに??」
「うーーん、とりあえずリンカには
今寝てもらってるの……
私が話す事じゃないと思うんだけど…
リョウクンが夜中1度も泣かないのは
リンカが夜中中ずっとリョウクンを抱いてるからだよ。
仕事で疲れて寝てるのにバンリくんを
起こしたくないって言ってた。」
「そんなことっ‼︎」
とバンリくんが急に立ち上がった
「うん。わかってるよ(笑)バンリくん。リンカもわかってるんだよ?
でもね、リンカはバンリくんの事を想ってしてた事なの。
リョウクンは甘えん坊みたいで、24時間ママを独占したいみたいでね!
それに必死に応えてたリンカの方が
ダウンしちゃったみたい…」
「兄貴、ごめんな。
姉貴は昔っから突っ走るところがあって
リョウの母親としても、兄貴の嫁としても、完璧でありたいと思って頑張りすぎたんだ。それで最終的にはミカに泣きつくんだよ(笑)いつものことだっ」
レイジがコーヒーをバンリくんに出しながら言った。
「レイジ、サンキュ。
ミカちゃん、俺はもっとリンカに頼られたいんだ。辛い時は辛いって言って欲しい。リョウはリンカと俺の子だから…
俺も子育てに積極的に参加したいし
たまにはリンカとの時間も欲しいんだ。
リンカの負担を半分俺にも分けて欲しいんだ……
で、今日親父に話したら、育児休暇を
俺にくれたんだ…2週間。
俺、殆ど任せきりでリョウの事何もできないから、この2週間で色々学びたいのもあるし……
リンカがダウンする前に行動してあげてたら良かったよ…」
「だってよ、リンカ?」
リンカはバンリくんが話しだした頃
ゆっくり上から下りてきて
バンリくんの話に涙をボロボロ流しながら聞いていた。
私の言葉で勢いよく振り返る
バンリくん…
「バンリ…私、いっぱいいっぱいになっちゃって、ここに来たの。
私、間違ってた。リョウは私だけの子じゃないのに……バンリの子でもあるもんね?ごめんね…」
バンリくんはリンカの所へ歩いて行ってリンカを抱き締めた。
「俺こそ、ごめん。
とりあえず、2週間俺は家にいるから
1から3人で頑張ろう?
俺にも、リンカの負担を分けて?」
「うん、うん ありがとう」
2人の姿を見てホッとした私は
レイジを見ると
レイジも私を見て優しく頷いた
その後元気を取り戻したリンカは
バンリくんに連れられて帰って行った。
リョウクンはバンリくんが抱いている。
バンリくんもリョウクンを久しぶりに抱けたみたいで嬉しそうにしていた。
「ミカ、いいの?
こんなに貰っちゃって……」
私は今朝作った煮物をタッパーに入れて渡した。
「いいのいいの!
また来てね!私も行くから(笑)」
「うん。今日は本当ありがとう。
朝早くからごめん。レイジもごめん」
「うわぁ、珍しい…これから
雷くるかも!兄貴傘持ってく?」
「んっとに生意気ねぇ〜
人が真面目に謝ってんのに!!」
「じゃぁ、ミカちゃん、レイジ
本当ありがとう。」
そして3人は帰って行った…
扉が閉まった後
「レイジ…素直じゃないんだからぁ」
とニヤニヤしながらレイジをつっつくと
「だって、姉貴に謝られるなんて
10年ぶりくらいだよ(笑)調子狂うわっ!」
確かに
リンカは昔っから意地っ張り(笑)
ごめんねの言葉は言えないけど、態度ではきちんと反省してるのわかるんだけどね(笑)
レイジは私の前では素直だけど
相手がリンカになるとやたら張り合うんだよね(笑)
でも、なんだかんだと2人は仲良し姉弟だよ(笑)
「ふふふ(笑)まぁ、でも
丸くおさまって良かったね…
レイジ…(笑)」
「ああ(笑)」
と言って笑ったレイジは
超絶にかっこよかった!
反則でしょ(笑)