前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
そして11月1日の朝
今日から写真が広告として出る事を
ド忘れしていた私たちは

いつものように朝レイジと家を出る。


大学の最寄り駅に着いた。


今日はトシヤくんの講義は
午後からだそうで
2人で大学までの道を歩いていると


なんだか、凄い視線を感じる。


「レ、レイジ…なんかさ
周りから見られてる気がするんだけど…
気のせいじゃないよね?」


「気のせいではないだろうな…
俺もなんかいつもとは違う
何かを感じる(笑)」


と私の頭を撫でた


その時、通りすがりの男の子が


「あっ!このお兄ちゃんとお姉ちゃん
バスでキスしてた人だ〜!!
お兄ちゃんはかっこいいし、お姉ちゃんはかわいいね〜‼︎」


と無邪気な笑顔でちかづいてきた。


その子のお母さんも近付いてきて


「あ あの、応援してます!
頑張ってくださいね…」


はっ?


意味のわからない私たちは2人で
顔を合わせて首を傾げていると


「あっ!お兄ちゃんお姉ちゃん!!
あれあれ!」


と男の子が指を差す方に見ると


バス一面に
私がレイジのスーツを
引き寄せてキスしてる写真が……


高層ビルや商業施設の大きな広告も
その写真に変わっていた…


キャーー

嘘でしょう?


これはちょっと
やり過ぎじゃないですか賢太郎さん?!


「お兄ちゃんはいいねっ!
こんな綺麗なお姉ちゃんと
キスできて(笑)お姉ちゃん
大きくなったら僕にもキスして!!」


するとレイジが男の子の頭を優しく
ポンポンってすると


「お姉ちゃんは俺だけのお姫様だから
お前はお前で自分だけのお姫様を
探すんだゾ(笑)」


「えー!でも僕もお姉ちゃんがいい!」


「ダメだ(笑)」


と言って私の肩を抱き寄せて
男の子に向かってニカッと笑った


その笑顔でお母さん顔を真っ赤にして
フリーズしてる…
多分今お母さんの目の前で手をヒラヒラしても気がつかないと思う…


「わかったよぉー!じゃあ僕はルミちゃんで我慢するよ(笑)
お姉ちゃんはお兄ちゃんの事好きぃ?」


何の曇りもないキレイ瞳で男の子は
私を見上げた。

「もちろん。大好きだよ(笑)」

とニコッと男の子に向かって答えると


レイジが私の頬にチュッと触れるだけのキスをした


「なっ!(笑)そういうことだから
お前はルミちゃんにしておけ(笑)」


「ちぇっ!わかったよぉ!
じゃあね、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」


「うん、またね」


「おう、またな」


「息子が…す す すみませんでした…」


とお母さんが頭を下げるとそそくさと私達とは反対方向へ進んで行った。
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