前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
「わりぃ、先戻ってて…」


と言って、俺はガタンと立ち上がった。


「お おいっ!レイジ…
どうしたんだよ?!」


「…なんで怒ってんだ??」


今はこいつらに構ってらんねぇ!!


俺はミカの所に早足で近づいて
その男の手を振り払うと


きょとんとした顔で俺を見上げたミカ


ヤバイくらい可愛すぎるでしょ!


俺はミカの隣に腰掛けて


「ミカ…なにナンパされてんだよ?
しかも触られてたし…」


と言ってさっきまで男に触られてた
髪を触りながら言うと


「えっ?ナンパ??
私の頭に何か付いてるって
取ってくれようとしたんだよ?」


と首を傾げながら言うミカ


その顔がヤバイくらい
かわいすぎるんですけど…


でもね、ミカちゃん
見た所、頭にも髪の毛にも何も付いてないけどな…


ほらほらまた騙された


「何もついてないけど?」


とミカの頭を撫でながら
ミカに触った嘘つきゲス野郎男を
睨み付けると


「あっ、じゃぁ僕行きますんで…
す す すみません……」


と言って、モジモジしながら
後ずさりした


今だに疑う事を知らないミカは


「あっ!すみません…
わざわざ教えてくれてありがとうございました(笑)」


その男にニコッと笑って頭を下げると
顔を真っ赤にして立ち止まって
戻ってきたくそ野郎。


「あっ、あの…橘さん……」


「はい…なんでしょう?」


「大好きなんです。
それが言いたくて……」


はぁっ!?


てめぇ、それ俺の前でよく言えんな…


俺がギロッと睨むと


途端に下を向いてギュッと唇を噛んだ


クソ野郎がっ!!


「えっ?何を??
あっ、それならそうと
言ってくれればいいのに…
私、もう食べられないからどうぞ?」


とミカは自分の食べてたナポリタンを
男の前に差し出した



ミカ……


鈍すぎるのにも程がある


でも、やべぇウケる(笑)


鈍すぎ…


鈍感…



「ぶはははっ(笑)」


思わず、吹き出すと


「レイジ…?なんで笑うの??」


「うーーん(笑)
俺もナポリタン食べたい。頂戴」

と言って、ナポリタンをあっと言う間に完食してやった!


「ありゃ!
レイジ全部食べちゃったの?」



「うん、美味しかった…
てか、他の男に口付けたモノをあげるなよ!」



「それもそうだよね?
ごめんね?
食べかけのものモノあげるなんて…」


とミカが申し訳なさそうな顔して
くそ野郎を見上げた


見るなよ!そんな顔してこのくそ野郎なんかっ!!


くそ野郎はナポリタンの入った皿を
少し名残りおしそうに見ながら


「えっ?ああぁ…
そうじゃなくて………」


と、ミカとの距離を再度
縮めようとしたから


俺はガタンと立ち上がると
ミカを隠すようにして


「てめぇ、いつまで俺の女にちょっかい
出せば気が済むんだっ!」


と殺す勢いで睨み付けて言うと


その男は慌てて


「ご ごめん なんでもないんだ…」


と言って走って逃げて行った


はぁ…


んったく!うぜぇ野郎だなっ!!



するとそこへ一部始終見てたであろう
アイリちゃんが飲み物を持って
立っていた


「レイジくん…本当王子様だよ」


と言いながら顔を真っ赤にさせて
ぼーっとしてた



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