夏目くんと恋愛中
どこにでもあるような話で、それまでは私だけのお母さんとお父さんだって思っていたのに、急に弟に取られたような気がしてた。
「だから、お母さんがお店を見ている時に、内緒でそのお店を出たの」
小さかったけど、なぜだかその日の事だけはよく思い出せる。
「夢中で歩いたよ。すっごく歩いた・・・。そしたら、気づいたらお店もなくて、人もないところまで来てたんだ」
そしたら急に、心細くなって来た。
「どんどん、周りは暗くなってて・・・。”お母さん”って言いながら泣いてた。けどね、誰かが私の名前を呼ぶの」