しるばーりんぐ
「ちょっと話しがあったんだけど…」
と、依野さんは私と結菜を交互に見る。
「えっと~…」
私も返事に困っていると、今まで黙っていた結菜が口をたした。
「…私、屋上で待ってるから」
そういい残して結菜は教室を出ていった。

「ごめんね?」
結菜が出ていった教室のドアを見ていた私に、依野さんは話しかけてきた。
「あ!ううん!どおしたの?」
「えっとー…」
なんだか言い辛そうな依野さんだったが、意を決したようにこちらを向き直った。


「日向さん、彼氏いる?」
…え?
予想もしていなかった質問。
「いるけど…なんで?」
「それって…タツヤとか言う人じゃない?」
依野さんは、竜弥の事はしらなさそうだが、明らかに"タツヤ"と言った。
「そうだ…けど…なんで知ってるの?」

依野さんは、目を泳がせながら、またもや言い辛そうに重い口を動かした。
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