あなたに出逢えた
「栞菜。一個いいこと教えてあげるね。この学校には、栞菜を大好きな人がたくさんいるんだよ。何でかわかる?」




私は首を横に振る。私は何もしていないから、まったく心当たりがないのだ。






「……宮野だよ。宮野がみんなに言ってくれたんだ。栞菜はいい人だって。心の優しい人だって。だから仲良くしてほしいって。宮野は、相当栞なのことを大事に思ってるんだと思うよ。考えてみなよ。いじめが途端になくなるなんて普通おかしいと思わない?いじめられてるってわかった宮野がみんなに言ってまわったんだ」







宮野がそんなことをしてくれていただなんて……。まったく知らなかった。宮野は人気者だし、周りに気を配れる人だから、みんながそのことを聞き入れてくれたのだろう。それに宮野を敵にまわすのは絶対にいやだろう。ほとんどの生徒や先生を敵にまわすことになるのと同じなのだから。






「……それでいじめていた人はきっぱりやめたんだ。……どうしてそんな……」






「それは自分で考えてね、栞菜。宮野がずっとずっと栞菜を助けてくれてたってこと、知っといたほうがいいと思ったの。……ほんとは口止めされてたんだけどね。だから、私が言ってたってことは秘密にしてね」




そういって莉音は、口の前に人差し指を立てて秘密ってポーズをした。




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