あなたに出逢えた
莉音は私をにらみつけると周りの人の手を振りほどいて私を無理やり立たせた。






「なんか言えばわかってくれるの?栞菜は、どうしてそんなに遠慮するの?迷惑だなんて思ってないって言ってるじゃんっ!!どうしてわかってくれないのっ!!お礼なんてほしくないのっ!私たちはただ栞菜に笑っていてほしいから……。だから自分たちで勝手に動いてるだけだよ……。だから迷惑だなんて、思ってほしくないよ……。お礼がしたいって思うなら、ずっと笑っていてよ……」




そういうと、莉音は私を抱きしめた。






「り、おん……ごめん、なさい……。私、外国に行っちゃう、でしょう……?だから、それまではずっと迷惑かけずに、笑顔でいようっておもってっ……それ、でねっ……」


私は泣き出してしまって上手に伝えられなかったけど、莉音は私を抱きしめたままうんうんと頷いていてくれた。私の肩が少しぬれていて、莉音が震えてる。






……莉音も泣いてるんだ。私が泣かせちゃった……。







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