あなたに出逢えた
「ふわぁ……。もうこんな時間か……」
時計を見ると、七時を過ぎていた。そろそろママに謝ったほうがいいかもしれない。




「謝ってこよう……」
私は部屋を出てリビングへと向かった。



「うっ、ひっく……」

ママの声だ。私はドアに近寄り隙間から覗き込んだ。ママは、机の上に伏せて泣いていた。


私は、ドアを開けて部屋に入る。
「……っ!栞菜……。どうしたの?」


笑顔を必死でつくるママ。どうして我慢するの?言いたいこと言えばいいじゃない……。



「ごめんね。全部私のわがままなの。私ね、あの人の息子が好きなの。だから兄妹なんて嫌だった。それにね、ママが取られちゃうような気がしたの。あいつに。嫌で嫌でたまらなくて、ついあんなこと言っちゃった」



ママは、驚いたようで固まっていた。でもすぐに笑ってこう言った。

「そうだったのね。私はあの人が好きよ。でもね、それ以上に栞菜が大好きなのよ。栞菜のそばからいなくなることなんて絶対しないわ。それにしても、瞬君のことが好きなのね……びっくりしたわ。運命ってこういうことを言うのかしらね」




ママはにっこり笑ってこう言った。






< 136 / 224 >

この作品をシェア

pagetop