あなたに出逢えた
「どうした?」


宮野が後ろから遠慮がちに話しかけてきた。


「何でもない。お願いがあるの……。しばらく部屋にいてくれない?お願い……」


宮野は私が必死に頼んでいるからか、黙って部屋に行ってくれた。



ママはきっと私の宮野への気持ちがあるせいで結婚を拒んでるんだ……。



「……バカじゃん。本当にバカ……ママのバカ……」


私がママの幸せを願ってないわけないのに。
ママが幸せでいてくれるなら、私はそれだけで幸せなのに……。



「慧君。私はあなたが好きよ。愛しているわ。でもね、娘はそれ以上に愛してるの。娘が幸せになれないなら、私の幸せを捨ててでも、幸せにしてあげたい。それは、今の私の願いなの」



「そう、か……」


もう無理。何言ってんのよ、ママ。我慢の限界。




「……ふざけないでよ、ママ…………!」


「栞菜……っ!」

私は勢いよくママたちの目の前に出ていった。顔は伏せたままだけど。


「……なんで私の気持ちも考えてくれないの……?」




「考えてるわよ……。だからこうして……」




「ふざけんなっ!」



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