あなたに出逢えた
「そっかぁ……」



どうやら、その前の話は聞かれていないようだ。



気持ち、ばれてないみたいだし。良かったぁ……。




「あのね。私、ママが結婚するって決めてくれたから、日本に帰ることにしようと思うの。ママは、もう幸せになってくれるだろうから」




「帰るのか?一人で日本に」


私は頷いた。



「多分、それはないと思うぞ。一人で帰るってことなんて絶対に」


「なんで?」

なんでそこまで宮野は言い切ることができるのだろう。

「お前の母さんが言ってたぞ。結婚したら、俺とお前を連れて、日本に戻るって。だから、もう、帰るって決まってるんだ。四人で」



そんなこと決まってたんだ……。


「……全然知らなかった。でも、莉音に会えるんだね」


「あぁ、そうだな」


そう言って私の頭をなでた宮野は、ふわっと笑った。



ドキッ!



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