あなたに出逢えた
【瞬side】
あぁ……ちょっときついなぁ……。

ずっと好きだったのに、フラれても諦められるわけねぇじゃん。
たとえ兄妹になったって……。ぜってぇあきらめねぇ。



それはいいとして、あいつすげぇ嬉しそうだったなぁ……。
母親が幸せならそれだけで嬉しい。そう言ってたか?

他人思いなやつだよ、ほんとに優しいんだよな、あいつ。



母親がとても嬉しそうに笑っている様子を見ている若名までも、とても嬉しそうに笑っていたんだ。
それを見たせいだと思う。ますます諦められなくなった。


だけど、最近ちょっとおかしい。
前のような笑顔が消えて、ずっと遠い場所を見ているんだ。

どこにいても、何をしていても、心ここにあらずって感じなんだよなぁ……。




「前みたいに幸せそうに笑ってりゃいいのに……」


「どうしたの?」

「は?」


ソファーにもたれかかって上を見ていた俺を、ソファーの後ろから、覗き込んでくる若名がいた。

「うわぁっ!何してんだよ、お前……」


すると、若名が首をかしげて俺の前に来た。


「宮野が変なこと言ってたから。どうしたのかなぁって思って……。迷惑、だった?」




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