あなたに出逢えた
「ごめんなさい……私の子供を助けたせいで……」



私の近くにいる女性が、私を見て泣く。

私、何かあったのかしら……?



自分自身に起きていることが分からなかった私は、少し顔を上げて前を見た。

目の前には家の塀。
どうやら、そのまま突っ込んでしまったようだ。



私の体は、もう動かない。
意識までもが消えてしまいそうなほど、私はけがをしているんだ……。



「もう……無理、か……しら、ね……」



ごめんなさい。ごめんなさいね。
栞菜。私、また、あなたを一人にしてしまいそうよ……。




でも、あなたが私のもとに来てくれたこと、とても嬉しかったのよ。




私は、最後の力を振り絞って携帯へと手を伸ばした。





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