あなたに出逢えた
「どうやら、飛び出してきた子供をよけたのだが、その避けた先が民家の塀だったようで、それにそのまま衝突してしまったらしい。車はボロボロで若名さんの意識もほとんどなかった状態らしい」




嘘、だろ……?





「若名さんが、最後に動画をとっていたらしいんだ。さっき預かったんだが、娘さんに渡してあげてくれないでしょうか。私からでは受け取ってくれないだろう。頼む」



俺は静かに頷いた。




俺からだって受け取ってくれるかはわからない。
だが、きっと美知子さんからの最後のメッセージだろうから……。







若名に見ておいてほしいと思った。






「嫌っ!見たくないっ!見たくないよっ!」


首を振り続ける若名。
今の若名に見せたとしても、きっと、もっとおかしくなってしまうだろう。







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