あなたに出逢えた
「栞菜っ!」

私を呼ぶ瞬の声が聞こえた。


私は、目を開ける。

「ここ、私の部屋……って、瞬……?」

瞬は私を見て顔を伏せてしまった。顔は見えないけど、泣いているように見えた。


「瞬?」

「え……っと、ごめん。栞菜が叫んでたから、気になって……わりぃ」


そう言って立ち上がって私の部屋から出ていこうとする瞬。


「待って」

私は、とっさに瞬を呼び止めた。


「ママ、どこ?」



私がそう聞いた瞬間、瞬はとても傷ついた顔をして顔をそらした。

そして、一言「わりぃ……」と言って、部屋を出ていってしまった。



「じゃぁ、あの夢のママが言ってたことは……本当、だったんだ……」




『ママはね、死んだのよ』



その言葉ばかりが私の頭の中を駆け巡る。



「ママは、死んだ……死んだ……うっ……ママぁああぁあ……」


私は、ベッドに伏せてひたすら泣く。それをずっと繰り返していた…………。



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