あなたに出逢えた
【瞬side】
あれから栞菜は変わった。


表情がなくなって、いつもみたいな笑い声が聞こえなくなった。それどころか、しゃべり方まで変わってしまった。



「お、栞菜。おはよう」
「……うん」


って感じ。言い方がきつくなって、目も合わせない。それに、ぼぉっとしていることも増えた。
そのたびに空を見上げる栞菜が、とても苦しそうに見えた。



必要なことがない限り、部屋の外には出ない。前はもっと楽しそうに部屋を飛び出して、買い物に行っていた栞菜を懐かしく思うほどだ。





「……どうすりゃいいんだよ」



分かってる。どうにもならないことぐらい。俺じゃ、どうにもできないことぐらい……。




「それでも助けたいんだよ……!……でも、俺じゃぁ…………」
「そんなことないよ、瞬」


「……親父…………」

俺に声をかけてきたのは、親父だった。親父は、ただ椅子に座って外を見ていた。


「瞬……俺はね、悲しみから抜け出すのは、一人じゃ無理だと思う。栞菜ちゃんは、昔も大切な人を失っている」


「あぁ……」




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