あなたに出逢えた
「瞬。日本に帰るぞ。栞菜ちゃんにこの環境は狭すぎる。もっと羽を伸ばせられる場所に行こう」


今帰るのには、俺も賛成だ。だけど……



「栞菜は、帰りたいのか帰りたくないのかわからない状態じゃ、今は賛成したくねぇ」


大事なのは、今栞菜がどう思っているかだ。だって、ここは美知子さんが最後にいた場所だ。どういうかなんて、俺たちには分からない。



「……瞬。俺もそう思ってるよ。でもな、ここも契約したままでいくつもりだ。いつでも戻ってこられるようにな。それに、そうなったら雇ってくれるところもきちんとあるから、ここでまた暮らすこともできる。そう栞菜ちゃんに言ってくれ」


「親父から言ってもいいんじゃねぇの?」




親父は顔を伏せて首を振る。


「今は、俺じゃだめだ。瞬が行くべきだよ。でも、瞬でも無理かもしれない。そうなれば、どうしようもないから、一度日本へ戻る。栞菜ちゃんがここに残ると言わない限りは、日本に帰るつもりだ」


「分かった、栞菜に聞いてみとくわ。じゃ、俺部屋に戻るわ」


そう親父に告げて、俺は部屋に戻った。




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