あなたに出逢えた
【栞菜side】
笑わなくなったのはいつからだろう。
涙が出なくなったのはいつからだろう。
しゃべらなくなったのは、いつからだろう……。


前はそう思っていた。



でも、最近はそれが普通だって思うようになった。



泣かない、笑わない、苦しまない……。
感情が消えれば、苦しいとかはわからなくなるんだ。


人間だから、全部なくすのは無理かもしれない。でも、私は、無意識にそれを行っていた。
今は、何も感じないようにさえなっていた。


瞬とも話さない、莉音とも話さない。メールも来たし電話だって来た。私は、すべて見ていないし、応答もしなかった。

どうでもよくなっているのだろう。これも感情かな。


その時、呼び出し音が鳴った。


「また……」


莉音だ。この音楽は、莉音にしか鳴らないんだから。

なんでだろう……どうしてこんなにも電話してくるんだろう……。



「はい……」


私は、仕方なく電話に出た。



「栞菜っ!良かった……。ごめんね……傍に居てあげられなくて、ごめんね……うっ……ひっく……」

なんで、莉音が泣くの……?


「なんで、あんたが泣くのよ」

「悔しいのっ!……傍にいられないことが…………栞菜の近くにいられないことが……!」


私のそばに莉音がいたら、ママが死ぬ運命が変わってたの?

そんなこと、あるわけないじゃん。








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