あなたに出逢えた
「莉音、私の近くにあなたがいてもいなくても変わらない。ママが死ぬことには変わりなかったよ。絶対に。じゃあね」


私はそう言って電話を切った。


――――――――コンコン


私の部屋のドアがノックされた。


「はい」

「俺、瞬」


「開いてるから」

私がそう言うと、瞬はゆっくり入ってきた。



「適当に座って。どうせ話があるんでしょう?」

「あぁ」

瞬は私のクッションに座った。私をじっと見つめたまま、なかなか口を開かない。


「もう夕方だから、私夕食の用意をしなくちゃいけないの。要件を早く言って」


「日本に、帰らないか?」
「……は?」

あまりにも唐突すぎて、反応が遅れてしまった


「日本に、帰る……?」

「あぁ。だけど、栞菜が帰りたくないならここに残る。日本に帰ってもここは契約したままでいくらしい。いつでも帰ってこれるようにしておくんだって言ってた」


そんなこと、どうでもいい。いつでも帰ってこれるように、か……。




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