あなたに出逢えた
【瞬side】
最近、栞菜は部屋にこもるようになった。引っ越しの準備も進んでいて、三日後には日本に一人で向かう。

どこの学校に行くのかと栞菜に聞いても親父に聞いても教えてはもらえなかった。



「ちょっと行ってくるね。夕方までには帰るから。じゃあね」

「おいっ!ちょ……」

栞菜は、自分の部屋から出てきたかと思ったら、どこかへ出かけていってしまった。


「よく分かんねぇ……」



笑わなくなってからだいぶ経つが、最近は何かに追われているようだった。早くしなくちゃいけないと焦っているようだった。



「なんで何も言わねぇんだよ……」



ただ、泣いている声は聞こえなくなった。苦しそうに声を押し殺して泣く栞菜を俺は一度見てしまったから。よけいに気になるのだろう。


あの顔だけは、もう二度とさせたくない。



親父に誓った、栞菜のそばにいるって思いは変わっていない。

でも、本人から、嫌だと言われたら、俺は、それに頷くしかない。



栞菜の望むことは、できる限り叶えてやりたい。



「今は、あいつを信じてればいいんだ……」




そう。大丈夫さ。


絶対、大丈夫……。












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