あなたに出逢えた
私、あなたが自殺しようとしていたことも知っていた。ある男の子が教えてくれたの。


瞬君よ。とても怒っていたわ。慧君の息子さんに初めて会ったときに言われたの。



「若名は、一人で苦しみ続けている。なんで気付いてやれないんだ」って。

瞬君ね、あなたと同じ中学出身なんだって。ずっと栞菜を見ていてくれていたみたいなの。




ある意味、私より栞菜のこと知っていると思うわ。それほど栞菜のことが大好きみたい。嬉しかった。栞菜はこんなに愛されているんだって。私も見習わなければいけないと思った。



子供から親の在り方を学ぶなんて、母親失格かもしれない。



でも、どれだけ離れていても私はあなたを愛している。たとえあなたにもう逢えなかったとしても。それでもあなたを愛しているわ。


だから、栞菜。あなたも誰かを精一杯愛してちょうだい。あなたの周りには、栞菜を愛してくれている人がたくさんいた。


あなたが寂しかった時間を埋められるほど一緒にはいられなかったけれど、私はそう思ったわ。


栞菜の周りはあたたかい。



大丈夫よ。

絶対大丈夫だから、周りを信じて、笑顔で生きてください。



これは、ママからの最後のお願いです。


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