あなたに出逢えた
新しい環境になれ始めた私は、莉音と宮野に書いた手紙のことを思い出していた。



莉音には、離れていても大好きだってことと、もう会えないってことを書いた。

でも、宮野にはありがとうって気持ちとさようならの言葉しか書いていない。




最後まで気持ちを書こうか迷っていた。


でも、書けなかった。


だって、宮野はもし私の気持ちを知ったら、私を見つけてくれるでしょう?それで、笑顔で好きだって言ってくれるような気がしたから。



もう、嫌だった。



これ以上、私を見てほしくないの。


私は最低だから。


二人の気持ちを裏切って、二人から逃げてる。



だから、私のことを嫌ってほしい。



そう思ってるくせに、手紙を書いちゃっていた。


私、覚えててほしいのかな。


逃げたくせに。


二人から、宮野と莉音から、逃げたくせに……。




覚えててもらう資格なんて、ないじゃん。


気持ちを伝えたいのは本当だった。でも、きっとそれだけじゃない。



< 203 / 224 >

この作品をシェア

pagetop