あなたに出逢えた
仲良くなれた大切な親友だった人と、大好きだった男の子に、私は覚えててもらいたかったんだ。



「ずるいや……私、何してんだろ……うっ……」



逃げたくせに覚えててほしいなんて、都合よすぎじゃん、私。



「大丈夫?」


「へ……?」


ヤバ、ここ学校だった。



「ごめんなさい。大丈夫です」


私はそれだけ言って、教室から飛び出した。


「よかった……下校中で……」


もう少ししたら、学校はきっと静かになるだろう。今日は部活もないし、先生たちは会議でもう職員室に集まっているころだし。



「莉音、宮、野……会いたい……」


私は、届いてほしくない気持ちを、ここですべて吐き出した。


会いたいけど、これ以上は、もう……。







関われない。




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