あなたに出逢えた
「瞬君っ!いこっ!」



「よし、行くか」


瞬君は鞄を肩にかけて席を立ちあがった。



私は、瞬君の家についた瞬間、変に緊張して体が前に進まない。



「河合、大丈夫だ。俺だって、栞菜に会いたいんだ。俺だって栞菜と話したいんだ」


そうだよ。瞬君だって、栞菜に会いたいんだよ。だって、大切な子だから。



「……うん。もう、平気」


栞菜の方がきっとつらいと思う。栞菜は何も教えてくれなかったけど、絶対に何かあった。だって、こんなに苦しそうな手紙を送って来たんだ。


「じゃ、行くぞ」

「うん」

私は瞬君の後に続いて家に入った。



「親父、話があんだけど」


「ああ。分かった」



リビングにあげてもらった後、瞬君はすぐにお父さんに話があると言って、話せる場所をつくってくれた。



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