あなたに出逢えた
ちょっとして戻ってきた瞬君のお父さん。



「これだよ」

小さな紙を私に手渡した。


「ありがとうございます!」


私は、もう一度頭を下げた。

「お礼を言うのは、僕の方だよ。栞菜ちゃんを大切にしてくれて、ありがとう。これからも、よろしくお願いします」

瞬君のお父さんも頭を下げた。


「二人で頭下げててもしょうがねぇよ。明日、祝日で、学校は休みだ」


「うん。行こう」

私は、瞬君を見て、頷いた。


「じゃぁ、明日の八時に」


私は、頷いて、瞬君のお父さんにもう一度お礼を言って、家を出た。






次の日の朝、私は瞬君の家に向かった。だいぶ早く言ったつもりなのに、瞬君はもう出てきていた。


「よぉ」

「おはよ」

「行くか」

「うん」

とても短い会話をした後、栞菜の家へと向かった。向かう途中は無言で、緊張しまくってた。


「着いた……」

私は、震える手でインターホンを押した。

「はい」

「栞菜」

「え……」

その一言が聞こえた瞬間、ものすごい勢いで走る音が聞こえた。


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