あなたに出逢えた
「遅くなってごめんね。やっと来られたよ」

彼女のお墓の前にしゃがんで、手を合わせる。
彼女のことを思い出しながら。

「……ごめんね。私、ずっと迷惑かけてたよね。ずっと、私を恨んでるって思ってたよ。でも、違うんだよね。本当は、優しい君はずっと心配してくれていたんだよね。ごめんね……。気づけなくてごめんね……。ありがとう……。大好きだから、今でもずっと……」

言いたいことは、すべて言えた



「うっ、うわあぁぁあ……」

私は、その場に泣き崩れた。





全部思っていることを言えたんだ。



今まで何一つ言えなかったのに。


たとえ聞いてもらえなくても、自分で言えたんだ。


ううん。絶対に聞いてくれてる。
優しいから。







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