今日もまた果てない歯車の中で【短編】
友達同士の遊びで大負けした僕は罰ゲームとして街の人は誰一人として近付かない災い神社の中に夜一人で忍び込み何か盗み出して来るというものだった。
僕は友達内でも群を抜く弱虫だった。
神社は静まり返り、無表情な静謐を保っていた。
「誰?」
「うわあぁぁぁっ!!」
いきなり後ろから声をかけられ、跳ね上がるように叫び声をあげた。
そこには、時代錯誤な提灯を手にした少女がいた。
あまりの美しさに、思わず僕は恐ろしさを忘れた。
蒼さを思わせる闇色にぽっかりと浮かび上がる提灯明かりに照らされる白磁の肌と、深い色合いの瞳。
「なぁに?
まるでお化けにでも会ったみたいな声だしちゃって」
そう言ってころころと笑った彼女を見れば、浴衣姿が自然で、ますます混乱が広がる。
「君…なんで…」
こんな所にいるんだろう?
「そんなの、私が聞きたいわ。
私はここの神主だもの」
僕は、言われたことをよく理解もしないまま、諾々と罰ゲームの話をした。
すると彼女は、迷わず古びた神棚からからっぽだった花を活けるための陶器の瓶を持って来て、躊躇いなくこちらに差し出したのだった。
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僕は友達内でも群を抜く弱虫だった。
神社は静まり返り、無表情な静謐を保っていた。
「誰?」
「うわあぁぁぁっ!!」
いきなり後ろから声をかけられ、跳ね上がるように叫び声をあげた。
そこには、時代錯誤な提灯を手にした少女がいた。
あまりの美しさに、思わず僕は恐ろしさを忘れた。
蒼さを思わせる闇色にぽっかりと浮かび上がる提灯明かりに照らされる白磁の肌と、深い色合いの瞳。
「なぁに?
まるでお化けにでも会ったみたいな声だしちゃって」
そう言ってころころと笑った彼女を見れば、浴衣姿が自然で、ますます混乱が広がる。
「君…なんで…」
こんな所にいるんだろう?
「そんなの、私が聞きたいわ。
私はここの神主だもの」
僕は、言われたことをよく理解もしないまま、諾々と罰ゲームの話をした。
すると彼女は、迷わず古びた神棚からからっぽだった花を活けるための陶器の瓶を持って来て、躊躇いなくこちらに差し出したのだった。
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