今日もまた果てない歯車の中で【短編】
彼女はやっぱり一人でそこにいて「来ちゃ駄目って言ったのに」と苦笑した。





それから一ヶ月。
僕はちょくちょく一目を避けてここに来ては、世間話なんかをして去るのを繰り返していた。


お互い、名前も知らない関係。







以前名前を聞いたが、彼女は教えてくれなかった。









「君、鈍臭そうだもの。
うっかり口でも滑らせてばれてしまっては大変よ?」












悔しかったから、
僕の名前も教えなかった。
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