上手く生きられない彼女




実際、人柄で言ったら、部長は怖くない。


あくまで
見透かされたり、自分の意志で決めたと思っていた事が自分の意志では なかった…という"事象"に私が勝手に恐怖を覚えるので あって、
部長自身は、私のことを よく分かっていて、私にとって一番 良いと思われる道を提示して、その道を一緒に歩こうと してくれていた。


私がコントロールされていれば…つまり全て部長の指示で動いていれば、
何か あった時に、部長の所為になる。


実際 部長には"俺の所為にすれば いいから"と、よく言われた。


私が自分のために生きられない性格だという事も知っていて、
"月ちゃんは自分の為じゃない、俺の為に生きるの"とも、言われていた。


仕事も何でも、生きる事すら自分の為だけには そこまで頑張れない けれど、
"これが全部 部長の為になる"と思えば、頑張ることが出来た。




部長の目的は正直 今でも分からない けれど…
結局 私は自分のことが どうでも よくて、自分が傷つく分には いっか、という考えがある。


つまり、全部 私にとって悪い事だったと しても、部長を信じて ついて行って結果 そういう事を知って"裏切られた"って傷付くことが ないから、
目的が何か とんでもない…例えば私を騙すような事かもなぁ と 思っても、部長から遠ざかる事を しなかった。




ただ、
保身のために人の所為にする人間が嫌いで、自分は そうなりたくない…という気持ちが強かったから、
"部長の所為になんて したくない"と、
そこには かなりの葛藤があって…。


今でも ずっと、1歩 踏み込んでは後戻りの繰り返し。


でも後戻りする度に、"何度でも俺が戻す"と…
言ってくれた。






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