僕は悪にでもなる
いつもの鳥の声と、冷たい空気に起こされた。
何か優しい夢を見た。
体のどこかで確かに夢のかけらが残っている。
「なんだ」といくら思い出そうとしても思い出せない。
一瞬なぜか優しい気持ちになろうとした時、無意識に目をそらす自分がいる。
なぜなら優しい気持ちが、苦しみにすり替わると体でおぼえていたから無意識に反応した。
次の日も同じような夢を見る。
愛に巡り合い、生きている自分がいた。
きれいな桜を見ていた。
このくらいしか思い出せない。
僕は、動揺を隠せない。必死で忘れようとしている。
昨日の夢はもう忘れている。ただ同じような夢を見たことくらいしか記憶に残らない。
少しずつ知らぬうちに優しく穏やかな感情をいだくようになったのに、それとは裏腹に歯が痛む。また俺をせかすように激痛が続く。
歯の痛さが熱をぶりかえした。
熱をもった、だるい体で
ふとんを噛んで、うねり声をだし痛さをこらえる。
腹が立つほど苦しい。痛い。
次第に唸り声も、激しくなっていく。
そんな姿をみた教官は、医者を独房に呼んだ。
「熱が上がっている。虫歯のせいだ。歯医者にいくか?
ここでは通院はできないから抜くことになる。
今の状態じゃ苦しいぞ。」
そう尋ねてきた。
僕は、一寸の迷いもなく
「連れて行って下さい。抜いて下さい。」
そう言った。
せっかく穏やかな気持ちになれたのにこの痛みのせいで
腹が立つ。苦しい。さっさと抜きたい。
許可をとり歯医者につれいていく手配をした。
衰退する体。痛む歯。
教官に起こされ手錠をかけられ、腰なわをしてふらふらとベットから起きて独房から出た。
ここでは見たこともない、温かい服を着させてもらい
外へ出る。
耳元に凍りつくような冷たい風が突き刺さるが
体は寒くない。
そうだろう。この真冬にいつも薄いパジャマ一枚で、寝させられているのだから。
そのまま護送車に乗り、街に下りる。
見える自由な社会。痛む歯の上に舌を挟んで噛み、上から手で押さえて見ている。
みんな幸せそうに暮らしている。
まるで別世界のように。
いつか俺もここに戻る日が来るのだろうか。
考えただけで震えた。
それは恋しいなのか、怖いのか、その時はまだわからなかった。
でも確かに震えた。
歯医者につき、弱った体を台にのせる。
「大丈夫か?もう歯がないから、根っこから抜くのにかなり傷むぞ。」
「大丈夫です。抜いてください。」
麻酔をかけ、へらのようなものでえぐり取るように歯茎に突き刺さった。
「あーーーーーー」
弱った体で吠える。
顎をえぐり取られるような痛さ。
先生は一度中断し、また麻酔を打った。
次は突き刺さったへらのようなものをぐりぐりと歯茎をえぐる。
「あーーーーーー」
ありえない痛さ。ぶっとびそうな痛さ。
また先生は麻酔をかける。
そしてぐりぐりと、ぐりぐりとえぐり抜こうとするがまだ抜けない。
叫び続ける俺。
「これ以上、麻酔はかけられんぞ。」
そう僕に言って、
「どうしますか?」
教官に尋ねている。
僕は、教官が答える前に言った。
「そのまま抜いてください。」
ぐりぐりと、ぐりぐりと、ぐちゃぐちゃになっていく歯茎
神経をかき回されているような激痛。
そしてテコの原理を、使い底を捉えたへらは上へ上へと力が加わる。
「あーーーーーーー」
まるで顎を取られるような痛さ。
強く強く加わる力に耐えて耐えて。
やっと、抜けた。
先生も、教官もほっとした表情を並べた。
荒れるいき、飛びそうな意識、でもほっとした。
やっと邪魔ものがいなくなった。
すぐに護送車に乗って少年院に帰る。
見える自由で優しい。
僕は、社会に向けて言葉をかける。
「また見えるかな。」
少年院につき、痛み止めを飲み、ベットに横たわった。
歯茎がぐちゃぐちゃ。えぐった跡が痛む。とにかく痛い。
発狂したせいかさらに熱が上がっているようで、それがまた痛さを増している。
さらに節々も痛く、頭も痛く、寒気がして、吐き気がする。
精神的にも体力的にも追い詰められて気が狂ったように
わめきながら眠りにつけるその時を待った。
目が覚めた。痛さがましになっている。
また夢を見た。
今度は、大きな愛を失った。愛をもったことで抱く苦しみと悲しみ。
それだけが、記憶に残っている。
悲しくて、悲しくて泣き狂った自分がいた。
そんな夢のせいでせっかく歯や体が楽になったのに、苦しく切ない感情が離れない。
今度はその感情が邪魔で仕方がない。
次第に俺は、中途半端に愛を求めた自分を憎む。
わずかに期待した自分を憎む。
愛は求めれば苦しいだけ。
自分の中に期待する気持ち、わき出てきそうな優しさを憎み殺した。
愛はない方が楽なんだ。
そう言って切なさから背をむけて逃げた。
でもまだ邪魔な感情が、僕の混乱を誘う。
人間らしき感情を抱くのが怖くて、眠れない日々が続く。
体はだいぶ良くなった。
ベットから起きてイスに座り、熱いお茶を飲めるようにまで回復した。
歯の痛さもなくなり、楽になった。
熱い茶をすすりながら外を眺めていた。
雪がちらちらと。
落ちては消える、落ちては消える。
じっとながめていると、自分の邪念が水になりどこかへ
流れていくように。
落ちては消える。
儚く、きれいだ。そしてどこか悲しい。
落ちては消える。
きれいなものが水になり、もう二度と会えない場所に消えていくように
落ちてはきえる。
諦めず振り続ける雪はやがて雪化粧となり僕に、幻想を見せた。
優しい気持ちになる。
癒される。
でもどこか悲しい風景。
僕の邪念も、いつか水になりどこかに流れ、浄化され
雪になり誰かを優しい気持ちにさせられる日がくるのかな。
そう、つぶやく。
頭から離れない院長の強い言葉。
心のかけらを残し消えていった夢。
また自分にわずかな期待を抱く。
ぼーと。ぼーと。真っ白な雪化粧にみとられていると
流れるラジオから歌が流れる。
(春よ)
母の好きな歌だった。
「君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
君を想いながら ひとり歩いています
流るる雨のごとく 流るる花のごとく」
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする>>>>」
君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
夢。
浅き夢。
私はここにいます。
僕は、
僕の夢は。僕の。。。
ずっと抑え込み隠していた望みが顔を出そうとする。
まだ見ぬ春。
遠き春。
瞼閉じればそこに
ずっと寒く暗い場所で生きてきた。
温かく明るい春がそこにあるのかな。
抱きはじめた期待がとまらない。
愛をくれし君のなつかしき声がする。
愛をくれた人。。。
自分を許し、ずっと閉じ込めていたものを
解放した時、
強く握ってたものを
離した時。
心から湧き出たものは、
純粋な涙だった。
飽きずに何度も何度も求む愛。
今日は、クリスマス。
ずっと握っていた邪念を解放すると心の奥底でずっと眠っていた
感情が思い出を呼び戻した。
ここから見える粉雪を超え、はるか向こうに
恋人たちが寄り添い、家族たちが愛を確かめ合う。
さぞかし素敵な時を過ごしているのだろう。
こんなこと考えたこともなかった。
こんな感情。
こんな当たり前の感覚すら後ろ髪が見えなくなるほどに
遠い場所に俺は来ていた。
でも目の前で優しく振り続ける雪があるべき場所に戻してくれた。
恋をした。
心が動いた。
飾り気のない笑顔。
優しく潤う瞳。
でもどこか悲しさが伝わる。儚さ。
そんな彼女の瞳を向けようといろんなことをした。
かっこ悪いことも、嘘丸見えのへたな演技も。
でもいつも彼女の潤う瞳はいつも違う場所を見ていた。
悲しさが伝わる横顔。
そんなまっすぐに恋をした自分を思い出す。
理由などない。
ただ一人の人間を好んだということ。理屈抜きに。
不思議なものだ。
そんな損得抜きにただ人を好んだ自分が確かにいた。
まぎれもなく自分なのに、僕は、心からうらまやしく思えた。
長く人を憎み、痛めてきた自分。
またいつか。そんな自分にもどれるのだろうか。
いや、戻りたい。
僕は、初めてはっきりと心が希望を言い放った。
僕が、廃人になる前、何かを探しに東京へ行った。
東京に負けそうになったとき、俺を救ってくれた一輪の花。
けなげに咲く花。
絶えず愛をもらった。絶えず愛を与えた。絶えず愛を確かめ合った。
しかしその愛を裏切った。
とてつもない悔いが心を押しつぶそうとした時、
やっぱり飽きずに求む愛が心を救った。
やり直したい!!
戸惑いが決意に変わる。
思い出せた。あの幸せと呼べる愛を素直に見た瞳。
今まで幾度なく幸せと言う愛は目の前に現れていたはず。
家族や友達、恋人や親戚。
絶えず身近にあった。
愛なき腐った社会、時代、運命。
そう何かのせいにしてきたけれど
すべてから目をそらしていたのはこの自分だった。
いつも自分が歩んできた道筋をみると、見たくないものだけがそびえたっていたけれど
そうじゃなかった。
しっかりと愛があった。
何か優しい夢を見た。
体のどこかで確かに夢のかけらが残っている。
「なんだ」といくら思い出そうとしても思い出せない。
一瞬なぜか優しい気持ちになろうとした時、無意識に目をそらす自分がいる。
なぜなら優しい気持ちが、苦しみにすり替わると体でおぼえていたから無意識に反応した。
次の日も同じような夢を見る。
愛に巡り合い、生きている自分がいた。
きれいな桜を見ていた。
このくらいしか思い出せない。
僕は、動揺を隠せない。必死で忘れようとしている。
昨日の夢はもう忘れている。ただ同じような夢を見たことくらいしか記憶に残らない。
少しずつ知らぬうちに優しく穏やかな感情をいだくようになったのに、それとは裏腹に歯が痛む。また俺をせかすように激痛が続く。
歯の痛さが熱をぶりかえした。
熱をもった、だるい体で
ふとんを噛んで、うねり声をだし痛さをこらえる。
腹が立つほど苦しい。痛い。
次第に唸り声も、激しくなっていく。
そんな姿をみた教官は、医者を独房に呼んだ。
「熱が上がっている。虫歯のせいだ。歯医者にいくか?
ここでは通院はできないから抜くことになる。
今の状態じゃ苦しいぞ。」
そう尋ねてきた。
僕は、一寸の迷いもなく
「連れて行って下さい。抜いて下さい。」
そう言った。
せっかく穏やかな気持ちになれたのにこの痛みのせいで
腹が立つ。苦しい。さっさと抜きたい。
許可をとり歯医者につれいていく手配をした。
衰退する体。痛む歯。
教官に起こされ手錠をかけられ、腰なわをしてふらふらとベットから起きて独房から出た。
ここでは見たこともない、温かい服を着させてもらい
外へ出る。
耳元に凍りつくような冷たい風が突き刺さるが
体は寒くない。
そうだろう。この真冬にいつも薄いパジャマ一枚で、寝させられているのだから。
そのまま護送車に乗り、街に下りる。
見える自由な社会。痛む歯の上に舌を挟んで噛み、上から手で押さえて見ている。
みんな幸せそうに暮らしている。
まるで別世界のように。
いつか俺もここに戻る日が来るのだろうか。
考えただけで震えた。
それは恋しいなのか、怖いのか、その時はまだわからなかった。
でも確かに震えた。
歯医者につき、弱った体を台にのせる。
「大丈夫か?もう歯がないから、根っこから抜くのにかなり傷むぞ。」
「大丈夫です。抜いてください。」
麻酔をかけ、へらのようなものでえぐり取るように歯茎に突き刺さった。
「あーーーーーー」
弱った体で吠える。
顎をえぐり取られるような痛さ。
先生は一度中断し、また麻酔を打った。
次は突き刺さったへらのようなものをぐりぐりと歯茎をえぐる。
「あーーーーーー」
ありえない痛さ。ぶっとびそうな痛さ。
また先生は麻酔をかける。
そしてぐりぐりと、ぐりぐりとえぐり抜こうとするがまだ抜けない。
叫び続ける俺。
「これ以上、麻酔はかけられんぞ。」
そう僕に言って、
「どうしますか?」
教官に尋ねている。
僕は、教官が答える前に言った。
「そのまま抜いてください。」
ぐりぐりと、ぐりぐりと、ぐちゃぐちゃになっていく歯茎
神経をかき回されているような激痛。
そしてテコの原理を、使い底を捉えたへらは上へ上へと力が加わる。
「あーーーーーーー」
まるで顎を取られるような痛さ。
強く強く加わる力に耐えて耐えて。
やっと、抜けた。
先生も、教官もほっとした表情を並べた。
荒れるいき、飛びそうな意識、でもほっとした。
やっと邪魔ものがいなくなった。
すぐに護送車に乗って少年院に帰る。
見える自由で優しい。
僕は、社会に向けて言葉をかける。
「また見えるかな。」
少年院につき、痛み止めを飲み、ベットに横たわった。
歯茎がぐちゃぐちゃ。えぐった跡が痛む。とにかく痛い。
発狂したせいかさらに熱が上がっているようで、それがまた痛さを増している。
さらに節々も痛く、頭も痛く、寒気がして、吐き気がする。
精神的にも体力的にも追い詰められて気が狂ったように
わめきながら眠りにつけるその時を待った。
目が覚めた。痛さがましになっている。
また夢を見た。
今度は、大きな愛を失った。愛をもったことで抱く苦しみと悲しみ。
それだけが、記憶に残っている。
悲しくて、悲しくて泣き狂った自分がいた。
そんな夢のせいでせっかく歯や体が楽になったのに、苦しく切ない感情が離れない。
今度はその感情が邪魔で仕方がない。
次第に俺は、中途半端に愛を求めた自分を憎む。
わずかに期待した自分を憎む。
愛は求めれば苦しいだけ。
自分の中に期待する気持ち、わき出てきそうな優しさを憎み殺した。
愛はない方が楽なんだ。
そう言って切なさから背をむけて逃げた。
でもまだ邪魔な感情が、僕の混乱を誘う。
人間らしき感情を抱くのが怖くて、眠れない日々が続く。
体はだいぶ良くなった。
ベットから起きてイスに座り、熱いお茶を飲めるようにまで回復した。
歯の痛さもなくなり、楽になった。
熱い茶をすすりながら外を眺めていた。
雪がちらちらと。
落ちては消える、落ちては消える。
じっとながめていると、自分の邪念が水になりどこかへ
流れていくように。
落ちては消える。
儚く、きれいだ。そしてどこか悲しい。
落ちては消える。
きれいなものが水になり、もう二度と会えない場所に消えていくように
落ちてはきえる。
諦めず振り続ける雪はやがて雪化粧となり僕に、幻想を見せた。
優しい気持ちになる。
癒される。
でもどこか悲しい風景。
僕の邪念も、いつか水になりどこかに流れ、浄化され
雪になり誰かを優しい気持ちにさせられる日がくるのかな。
そう、つぶやく。
頭から離れない院長の強い言葉。
心のかけらを残し消えていった夢。
また自分にわずかな期待を抱く。
ぼーと。ぼーと。真っ白な雪化粧にみとられていると
流れるラジオから歌が流れる。
(春よ)
母の好きな歌だった。
「君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
君を想いながら ひとり歩いています
流るる雨のごとく 流るる花のごとく」
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする>>>>」
君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
夢。
浅き夢。
私はここにいます。
僕は、
僕の夢は。僕の。。。
ずっと抑え込み隠していた望みが顔を出そうとする。
まだ見ぬ春。
遠き春。
瞼閉じればそこに
ずっと寒く暗い場所で生きてきた。
温かく明るい春がそこにあるのかな。
抱きはじめた期待がとまらない。
愛をくれし君のなつかしき声がする。
愛をくれた人。。。
自分を許し、ずっと閉じ込めていたものを
解放した時、
強く握ってたものを
離した時。
心から湧き出たものは、
純粋な涙だった。
飽きずに何度も何度も求む愛。
今日は、クリスマス。
ずっと握っていた邪念を解放すると心の奥底でずっと眠っていた
感情が思い出を呼び戻した。
ここから見える粉雪を超え、はるか向こうに
恋人たちが寄り添い、家族たちが愛を確かめ合う。
さぞかし素敵な時を過ごしているのだろう。
こんなこと考えたこともなかった。
こんな感情。
こんな当たり前の感覚すら後ろ髪が見えなくなるほどに
遠い場所に俺は来ていた。
でも目の前で優しく振り続ける雪があるべき場所に戻してくれた。
恋をした。
心が動いた。
飾り気のない笑顔。
優しく潤う瞳。
でもどこか悲しさが伝わる。儚さ。
そんな彼女の瞳を向けようといろんなことをした。
かっこ悪いことも、嘘丸見えのへたな演技も。
でもいつも彼女の潤う瞳はいつも違う場所を見ていた。
悲しさが伝わる横顔。
そんなまっすぐに恋をした自分を思い出す。
理由などない。
ただ一人の人間を好んだということ。理屈抜きに。
不思議なものだ。
そんな損得抜きにただ人を好んだ自分が確かにいた。
まぎれもなく自分なのに、僕は、心からうらまやしく思えた。
長く人を憎み、痛めてきた自分。
またいつか。そんな自分にもどれるのだろうか。
いや、戻りたい。
僕は、初めてはっきりと心が希望を言い放った。
僕が、廃人になる前、何かを探しに東京へ行った。
東京に負けそうになったとき、俺を救ってくれた一輪の花。
けなげに咲く花。
絶えず愛をもらった。絶えず愛を与えた。絶えず愛を確かめ合った。
しかしその愛を裏切った。
とてつもない悔いが心を押しつぶそうとした時、
やっぱり飽きずに求む愛が心を救った。
やり直したい!!
戸惑いが決意に変わる。
思い出せた。あの幸せと呼べる愛を素直に見た瞳。
今まで幾度なく幸せと言う愛は目の前に現れていたはず。
家族や友達、恋人や親戚。
絶えず身近にあった。
愛なき腐った社会、時代、運命。
そう何かのせいにしてきたけれど
すべてから目をそらしていたのはこの自分だった。
いつも自分が歩んできた道筋をみると、見たくないものだけがそびえたっていたけれど
そうじゃなかった。
しっかりと愛があった。