掠れた声で囁いて




「明日は両腕空けて待ってますね!」

「……頼んだよ」


 微笑んで、今度こそ去って行った相模さんの背中を見送る。


けーくん大丈夫だよ、心配しないで。
あなたのパパを奪えるわけがないんだから。



 奥さんがいる相手は諦めるしかない。



 それから私は、心の奥底に自分の気持ちを押し沈めた。

 深く深く、取り出せないように。簡単には浮かび上がってこないように。



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