可憐な日々
「カレンっていう…女の子が入ったそうね」

まだ、明かりがついていない店内の奥に、事務所があった。

「すいません…。どうしても、カレンって名前がいいって、きかなかったものでして…」

事務所内の赤いソファに座る、2人の男。

1人は、可憐を面接した男。頭を下げていた。

その横に、がっちりとした壁のよう体格の男。

2人の男の前に、ソファにあまり沈まずに、座る女がいた。

女のいる場所は、少し影になっており、

表情はわからない。

「長谷川は、悪くありません。私が、責任を持って、変えさせますので」

がっちりとした男も、頭を下げた。

「別に、いいのよ」

女は、2人から視線を外し、フッと笑った。

女が視線を外した先には、

ホステス達の出勤予定表が、あった。


「し、しかし…」

まだ、何か言おうとするがっちりとした男に、

女は視線を移し、

「店長も…」

そして、長谷川を見、

「主任も…」

女は、微笑みかけ、

「気にすることは、ないのよ」






「奥様…」

店長は、少し涙ぐんでいた。

女は、ゆっくりとソファから立ち上がると、店内に続く扉に近づき、

扉を開いた。


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