可憐な日々
「いただきやす」

ぬうと、グラスを差し出す可憐に、

お客は感嘆する。

「いけるくちだね〜カレンちゃんは」

お客はビールを、可憐のグラスに注いだ。

「おっととっと」

可憐は、こぼれそうなグラスの中身を、一気に飲み干す。その姿は、まさにおっさんである。

華憐は、只今営業中。

良心的な金額と、華やかな雰囲気は、

いつも店内に、活気を与えていた。

音楽もうるさくなく、

趣味がいい。

出勤3日目でありながら、

ゲスト(指名なし)で入ったお客と、盛り上がっていた。

テーブルの上に、ビールの空瓶が並んでいく。

可憐は、自分でも昨日わかったことだけど…

お酒に強い。

苦さを我慢し、ある程度飲めば、

底なしになるようだ。

可憐の飲みぷりに、感心しどおしのお客が、きいた。

「カレンちゃんって…今何歳なの?」

「え?」

グラスを持ったまま、しばらく動きが止まる。

底なしとはいえ、酔いは回る。

思わず、真実を口にする。

「14です」

また、しばらく時が止まる。

お客は目を丸くし、

可憐に顔を近づけて、

じっと見た。

「え!」

可憐ははっとして、自分の言葉に、我に返った。

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