可憐な日々
歩道の真ん中で、腕を突き出して、地団太を踏む少女を、

歩行者は訝しげに、横目で見ながら、通り過ぎていく。

携帯を見ないようにし、

しばらくその姿勢でいると、

数分後、

可憐は、ちらっと携帯を見た。

「まだつながってるよお!」

可憐は泣きそうになる。

「もおおっ!」

可憐は、携帯を突き出したまま、走り出した。

(ちょっと…落ち着かないと)

可憐は、一目につかない場所を探した。

ビルとビルの間を見つけ、道を曲がったけど、

飛び込んだ路地は、

おっさんが…。

「ぎゃあ!」

可憐が、叫び声を上げると…おっさんは途中ながらも、

可憐の方を見て、にやっと笑った。

気持ち悪さに、身を震わせ、可憐は路地から、飛び出た。



「あんなところで、するなちゅうの!」

全速力で走り、また人通りの多い歩道に戻ってきた可憐は、息を整えながら、

携帯を見た。

まだつながっていた。

(しつこい!)

激しく息をしながら、可憐は急に、すべてが馬鹿らしく感じた。

「で、電話ぐらい…なによ!」


まあ切れば…いいのだけど…今の可憐はパニック状態になっていた。
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