可憐な日々
「まあ…ゲストが、入らない店は…」

エイリは、ホール内のアイスボックスに、氷をいれながら、

(もう衰退していくって…ことだけどな)

エイリは、横目で店内を観察した。

ベテランや人気のホステスにつく太客。

確かにそれは、大切だが…年輩が多すぎる。

お客だって、何年ついても落ちないホステスに、いつまでも、金を貢ぐとは思えないし…

彼女と勘違いしたり、金を使うことで、自分の力を示しているじじいも…倒産したり、亡くなるかもしれない。

(少し…客層がおかしいか?)

年輩ばかりで、中間の少し若い20代後半から30代前半のお客がいない。

何人かいるが…ホステスを落とすのに躍起になっている男だけだ。

(これは…)

エイリは人に見られないように、にやりと、笑った。

(どこか近くに…いい店ができたか…)

この業界に安定などない。

お客は店につくより、女につく。いい店に、いい女がいれば、そこに移る。

ある意味、店や女に情を持って通うお客は、駄目だろう。

(所詮…訳ありが多い)

女は理由がある。

テレビドラマみたいな世界はない。

(所詮…男と女。ドラマじゃない)

エイリはホールを見回しながら、ほくそ笑んだ。



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