可憐な日々
だからこそ、条件のいいところに移りたかっけど…

華憐で、No.2である自分が引き抜かれたという意味は……

もし…何かあって、すぐにT.L.Cをやめたら、

単なる笑いものになるし…筋を通して、やめてないなら、次に雇ってくれる店のレベルを下げなければならない。


プライド…。

プライドのないホステスは多い。

いや…強がりやわがままをプライドと、勘違いしているやつは、多い。

ホステスにとって、プライドとは……価値だ。

他人よりも、価値がある。

金を得ることのできる…価値。


華憐での待遇に、満足はしていなかった。

いずれは、去る店であるが…。


(今が……そのタイミングなのか……)

サキは、ため息をつくと、

部屋の真ん中にある姿見に、全身を映した。


「まだ……大丈夫」

気を緩めると、肌に疲れや歳は、浮かび上がる。

若さは…気の持ち様で…何とか止めれる。

(もう若くはない…)

それだけが、サキの悩みだった。

だけど、その悩みは、解決することはない。

人は、歳を取る。

それは、仕方ない。


できれば、一生枯れない花になりたかった。



だけど…それは、造花か…。

造花に、価値はないわ。
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