可憐な日々
第6章 危うい距離感
いつのまにか…美紀も理沙も帰っていた。

可憐も帰ってるはずだったが、

なぜか、隣に安田がいた。

「大丈夫?」

と言いながら、可憐を看病するように装いながら、

安田は可憐を抱き抱えながら、居酒屋を出て、二人で歩いていた。

「…だ、大丈夫…」

意識はあるけど、視界が真っ暗だった顔色が悪い。

どこを歩いてるのか、わからない。

「ちょっと…休もうと…」

そのまま、可憐は町の外れまで、歩かされていく。


そこは、ホテル街だった。

「もうすぐだからね」

少し息が荒くなる安田の口調も、今の可憐にはわからない。

ふらふらしながらも、ホテルの入り口の前まで来た二人に、

誰かが後ろから、声をかけた。

「酔っ払った商品に…何するつもりですか?」

後ろからの声に、ぎょっとなり、安田は振り返った。

そこにいたのは、エイリだった。

「お、おまえ…」

安田は目を丸くした。

エイリは、トートバッグを背負いながら、安田に近づいてくる。

「ホステスとの恋愛は、ご法度…なのに、酔わしたホステスを無理矢理、ホテルに連れ込んだとなったら…どうなるか」

エイリの言葉に、安田は震えながら、凄んでみた。

「お、おまえ!俺をちくる気か!」

「ちくる?」

その言葉に、エイリは右肩だけをすくめて、

「もっと…ひどいことになるよ」

エイリは安田に近づくと、ぐったりとしている可憐を覗き込んだ。

「急性アルコール中毒になってるな…。早く、救急車を呼ばないと、取り返しのつかないことになるぜ」




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