可憐な日々
学校が終わった後、家で着替え、エイリは華憐へと向かった。

店の前で、華憐と書いた看板を見上げながら、エイリはしばし足を止めた。


(そういえば……きいたことがある…。この店の名前は、オーナーの娘の名前で…その娘は、誘拐されて、行方不明…)

その噂を思い出した。

娘が誘拐されてから、店名を変えたことも…。

(まさかな…)

エイリは苦笑した。

(だとしたら…この店で、働く理由は何だ?)

ホステスの履歴書を、一バイトがチェックすることはできない。

(しかし…)

エイリは、店に持ってきた学生証を取出し、写真を見た。

店では、化粧をしているから、少し雰囲気は違う。

エイリは、外で一度会ってるから、すぐにわかった。


(やはり…あの子だな)


あまりにも気になったからか…エイリはいつもより早く、店に来てしまった。

まだ誰も来ていないようで、店の裏口も開いていない。

鍵を持っていないエイリは、待つしかない。

エイリは学生証をポケットになおすと、裏口の前で待つことにした。



「早いね…」

突然後ろから、声をかけられ、エイリは振り返った。

「工藤君だったね」

そこにいたのは、オーナーと優希だった。

「…おはようございます」

エイリは、頭を下げた。





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